Basketry Exhibition

バスケタリー展ウエブサイト

interview with artists - Mutsumi Iwasaki-

 
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No.3
岩崎 睦美
Iwasaki Mutsumi


■about my works






実験的な和紙 (本文中の和紙、作品は全て岩崎さん製作)

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Q1  岩崎 さんにとって「バスケタリー」と「紙すき」の関係はどのようなものですか?
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Answer:

バスケタリーと紙すきは11年前、同じ年に始めました。何の変哲もないただの潅木が真っ白な美しい紙

なっていくのは実にドラマチックです。紙をすくことより楮が紙になっていくところを見たくて講習を受け

ました。その後、仲間と「ななめの会」を結成、いろいろな技法を習得、研究するようになり、いつの間に

か様々な紙を漉く事に夢中になっていました。

一方、バスケタリーでは単純で覚えやすいプレイティングという技法が気に入りました。一つ組むごとに

カチッと決まるところがいいのだと思います。楮やほかの樹皮、クラフトテープなどで、制作していたの

ですが、自分で漉いた和紙が身近にあるようになり、自ずとそれをバスケタリーの材料に使うようになっ

たのです。

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Q2 素材を選ぶ基準やこだわりはどのようなことですか?
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Answer:

なるべく身近にある素材を選びます。近くに川があって、イネ科、カヤツリグサ科などの草や楮が生えて

いますが、美しいものです。

また、手に入れた素材の変化を試みることもします。例えば紙を使う場合、紙そのもの、紙細工みたい

なのはいやなのでパラフィンをかけたり、何かいたずらをして、紙でないような質感を楽しみたいと思っ

ています。素材の表情を変える実験的なことが好きです。




近所の川に自生する楮

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Q3 どのようにして素材としての紙を創り出すのですか?
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Answer:

和紙の場合は、楮を煮ることから始まり、紙に至るまで全て肉体労働が伴います。


バスケタリーの素材としては、厚く漉く、繊維質の素材を混ぜてすく、柿渋をかける、揉み紙にする、縫

う、などしていますが最近はパラフィンをかけることをしています。温めたパラフィンの入ったボウルに

紙をさっと通すと温度や和紙の条件によって出来る紙の透明度や厚み、ひび割れの感じなどが違っ

てくるのです。

一人で作業は出来ないので仲間と相談しながら作る紙を決めます。

いろいろなアイデアが出て横道にそれたり失敗したりして作っています。



落ち葉を入れてパラフィンをかけた実験的な和紙、氷のよう。
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Q4 素材の性質が作品全体に与える影響を意識して利用しますか?
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Answer:

はい、意識します。
最初にこの素材と技法で何か面白いことが起きるんじゃないかと設定して作り始めます。

その後はだんだん面白いことになっていく場合もあるし、予想した以上のことが無かったりしますが、

なるべく最初の設定のままに完成させます。
そうすることで、次のためのヒントが見つかることがありま

すから。




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Q5 技法と素材がマッチしたと手応えを感じた最初の作品について聞かせてください。
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Answer:

プレイティングは、平たいテープ状の素材を使うのが作業しやすいのですが丸いヒモ状のものは滑って

編み組みがやっかいなものです。それをどうしたらうまくプレイティングできるかと、考えた末できたのが

2005年の『地下水』という作品です。平たいもので丸いものの動きを抑えて組むという方法を見つけた

のです。



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Q6 岩崎 さんにとって作品の形とは何ですか?
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Answer:

単純作業によって形成された形、なるべく意図しない形を求めています。シンプルな例えば直方体が好

きです。直方体の塊を組んでいくそのプロセスで、何が起こるかをじっと待つというか、楽しむことにして

います。形を作るというよりは、組む行為の中で何かフォルムに関係することを見つけていく、ということ

でしょうか。

和紙を使うということもあり、重ねて組むことは必然的になりました。「くりかえす」「積み重ねる」という作

業をしている日々に充足感があります。




Answer:


『土の風景』(部分)
ヤシの葉、紙ひも、2007年制作





いろいろな素材の”たたむシリーズ”
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Q7 どのように作品のタイトルをつけますか?
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Answer:

情感的なタイトルの付け方をしないでおこうと思っています。作品を作るプロセスの中で起きてきたことを

考えながら付けるようにしています。タイトルも作品理解のヒントになるので、見る人にとっても大事だと

思います。タイトルは大切にしたいですが、言葉と作品を結びつけるのはなかなか難しいです。


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Q8 2007年度のバスケタリー展の出品作品「醗酵のかたち」解説してください。

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Answer:

温かみのある白の和紙と冷たい無機質の白の荷造り紐を素材としました。厚く漉いた和紙には透明感

とさらに厚みを求めてパラフィンをかけました。プレイティングで積み重ねていくうちに,紐の固さと和紙

の柔らかさとの間に「層」のズレが生じ、和紙の部分は低く、荷造り紐の部分は小高く、なだらかな山の

形になりました。押しつぶされた層の下のほうからぷつぷつと気泡がわいてくるようなエネルギーが感

じられる形が現れました。 




制作風景・  
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Q9 今、作品づくりの中でどのようなことに興味がありますか。また将来どのような作品をつくっていき

たい、目指したいと思っていますか。

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Answer:

紙に限らず、いろいろな素材をプレイティングしてみようとおもいます。

また、紙においても素材感の変化を試みるつもりです。

密度の高い作品と、空気感のある軽やかな作品、両方作ってみたいです。






"たたむシリーズ”
新聞紙・墨

■岩崎睦美 活動暦■

1984 織物をはじめる。その後、独学で学んだ技術を使い、家の周りにふんだんにあった自然素材、

イネ科の草などを入れたタピストリーを制作している。
1998~ 和紙作りを始め、同時にバスケタリーに出会う。
1997・1998 東京テキスタイル研究所のワークショップなどに参加、組む技法を展開したバスケタリーの作

品を作り始める。

2000 13回バスケタリー展より以後も毎回参加。楮を漉いた紙で組んだ”たたむシリーズ”『流れる 』を出品。

2001 紙になる一歩手前のタパを使った作品『棚田』を発表する。

2002
たたんで積み上げた上部が傾くという作品『swing』を発表。”たたむシリーズ”で動きのエネル

ギーを視覚化した。その後もシリーズは続く。

2005 作品『地下水』を発表。紙紐と和紙を組んだ作品を作る。

2006 他の素材との面白い組み合わせを探して、ヤシの葉と紐を組んだ”たたむシリーズ”を発表。

動きのあ
るフォルムを完成した。

2007
2005年発表の『地下水』はその後発展して、2007年に作品『醗酵のかたち』となり、パラフィン

ワックス
につけた和紙が重く沈みこんで紙紐で組んだ部分と高さの違いが出るという新しい形

の生成方法へとつながっている。



Interview with Artists 
第3回 岩崎 睦美
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