『 "心に掛ったこと、ひらめいたイメージを試行して、作品と呼べるものまで繋ぐ” その過程を大事にしながら、素材と技法の新しい関わりを持った作品を 少しずつ造りだしていけたらと思っています。』
20年以上前、初めて「形をもらう」のモデルになったのはりんごだった。
リビングのテーブルにひと繋がりで剥いた皮をそっと広げ、 透明なシートを乗せて、甘酸っぱい香りの中で極細ペンを使いなぞった。それを型紙にして紙を切り、コイリングという技法で繋ぎ立体になった時、とても満足だったのを覚えている。
型紙作りに難航すると、出来上がりも良くない。手を止めた時期もあったけれど、それでもポツポツ作っているうちに、形をもらう方法も少しずつ変わっていった。
今回、隙間のある「形をもらう」を作り終え、方法がだいぶ進化したことに改めて気づく。りんごの方法では隙間は実現しなかったんだと。
自分の記憶用に作業中とっている写真を順を追って並べてみた。